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2025年7月16日更新 |
第260回
ポカリスエット語源の街へ |
灼熱のインド、デリーを出発して、いよいよネパールの首都カトマンズに到着しました。
カトマンズはデリーから東北東の方向にあります。
到着したこの日は曇りでヒマラヤは見えませんでした。
カトマンズ空港は山の間にあるので着陸がとても難しいと聞いていたのですが、
難なく着陸できたのでよかったです。
インドのデリー空港は新しく、成田や香港よりも綺麗だったのですが、
カトマンズ空港は古く、30年前から40年前の北京空港のような印象を受けます。
街の第一印象は大気汚染のひどさ。インドもひどかったのですが、ネパールも相当なものです。
後で聞いたのですが、インドから大気汚染が入ってくるそうです(インドのせいにしている面もあるでしょう)。
それから、ベトナムと一緒で交通事情はめちゃくちゃです。
自動車やバイクの逆走は当たり前、日本ではありえない混沌と混乱ですね。
しかもエンジンか燃料が悪いのか、黒い煙をバンバン吐いているバスやトラックを多く見かけます。
肺がんの原因になること、間違いありません。
カトマンズは盆地のため、こうした大気汚染がとどまってしまいます。
1週間も風や雨がないと、世界最悪の大気汚染になると言います。
ベトナムのハノイとネパールのカトマンズは、世界有数の大気汚染都市です。
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ひどい交通状況のカトマンズ
肺がんになってしまいそう!?
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デリーからカトマンズへはジェット機、そしてカトマンズからポカラまでは国内線のプロペラ機で移動しました。
そのポカラは、ポカリスエットの語源になったところです。
湖があり、ヒマラヤが見える「景勝の地」として有名ですね。
ポカラに着いたその日は、天候と大気汚染でヒマラヤはほとんど見えませんでした。
ポカラの標高は800mで、カトマンズよりも低いのです。
そこから見える1600m級の、“ナウリコットの丘”にたくさんのホテルがあります。
そこは小高い丘の上で、眼下にポカラの街を見ながら、
遠くに山が連なっているのが見える「ヒマラヤ・ビュー」ということで大いに期待していましたが、
結果的に見られずとても残念でした。
さて、私はこの時点で何度かお腹を壊しています。
インドもネパールも雑菌が多く、仕方がない面もありますね。
怖がっても仕方がないので野菜も食べますし、生ジュースも飲みます。
ホテルによっては水道水があまりにひどいので、歯を磨くときなどもペットボトルの水を使いますが、
高級ホテルであれば水道水でも大丈夫です。
次の日は、ポカラから相当な悪路を約5時間かけて移動しました。
私はランドクルーザーの後部座席に乗っておりましたが、
あまりに揺れるので両手で手すりに掴まらないといけません。
私はかつての取材で、トルコや中国の新疆ウイグル自治区などすさまじい悪路を経験してきました。
毎日新聞のカメラマンをしていた頃は、ヘリコプターで死ぬ思いを何度もしています。
そういうのを経験しているので、どうすれば腰や首を守れるのか、ある程度わかっています。
この時の車はトヨタのプラド(小型のランドクルーザー)でしょうか。ただし、ボロボロです。
ケガをしないコツは、両手で手すりをしっかりと掴み、腰を半分くらい浮かせることです。
そして前方を見ながら、揺れが来るなと思ったらお尻を上げます。
道中は緊張のしっぱなしですが、ケガするよりはよいでしょう。
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ポカラからは悪路で大変だった |
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ようやく、標高2300mくらいの村の中にあるロッジに着きました。
スイートルームを予約したのですが、お湯の水量もチョロチョロで、部屋もかなり狭い。
暖房を入れないと寒くて死にそうです。
しかも、夕方になると真っ暗で下の方しか見えなくなります。
到着したときはすでに暗く、周りの山々は見えなかったので残念に思いましたが、
明日は見えるだろうということで期待しながら寝ました。
翌朝5時過ぎには明るくなると聞いたので、4時半から起きて待機しました。
すると、5時ぐらいから空が明るくなり、5時15分ぐらいになると雪山が見えたのです。
そして、5時半過ぎに庭へ出たら、西側に8100mのダウラギリ山が眼前に見えました。
ダウラギリ山はとても有名な山です。快晴で360度のパノラマビューです。
ダウラギリ山の反対側には、3つほど峰がありました。それらも、7000mとか6800m級です。
そのダウラギリ連山の左側から日が昇るのですが、それはさすがに圧巻でした。絶句です。
私はスイスのアルプスやニュージーランドには何度も行っていますが、
8000mを超える山を見たのは初めてです。
ニュージーランドにはマウントクックという、富士山より少し低い山があります。
スイスのアルプスもモンブランが4000mちょっとですから、8000m級はそれらの2倍もあるのです。
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雪が少なくなっているヒマラヤ
(後ろはダウラギリ連山) |
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ただ、山頂部の雪は減っているとホテルの従業員が言っていました。
10年前までは、山頂は雪だらけだったそうです。
今や、雪は5分の1程度にまで減ったと言い、「悲しい限りだ」と彼は嘆いていました。
やはり、地球温暖化の影響でしょう。8000m級の山でもどんどん雪が減っているのです。
事態は深刻と言うほかありません。
ヒマラヤというのは、「雪が住む場所」という意味です。
このままでは、ヒマラヤの名前の意味を「雪があまりない場所」と変えなければいけなくなりそうです。
悪い冗談ですが、そのくらい温暖化の影響が出ていることを如実に感じました。 |
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