今年の世界情勢で最大のイベントが、驚きの結果を迎えました。
米大統領選でのトランプ氏の大勝利です。
予想では大混戦と言われていましたが、
これほどハッキリとした勝利は、内外のどのメディアも予想できないサプライズでした。
それにしても、この結果は「えらいこっちゃ」です。
なにしろ、これで世界の政治・経済・外交をめぐる情勢が大転換することは間違いありません。
アメリカは今後、自国の利益しか興味がないというスタンスが基本となります。
日本は、衆院選に負け、顔色のない石破氏が総理としてこの難局に取り組むわけですが、
トランプとの対決は極めて困難なものとなるでしょう。
たとえば仮に、日米地位協定の改定を言及しようものなら、アメリカから
「そんなことを言うなら米軍を引き上げる。でなければ、もっと金を出せ」と返り討ちに遭うことでしょう。
一事が万事、日本はアメリカの「ディール」に圧倒され譲歩し続けることになるかもしれません。
ただ、長期的に見れば、アメリカは世界中から手を引き、
かつての孤立主義的な国に戻って行くことになります。
これは、人類の文明が宿命的に背負っている
「覇権の移行」の論理の通りになるということです。
そしておそらく、アメリカの覇権の衰退によって、
世界は今よりもさらに大荒れになることは間違いありません。
現在、世界各地で起きている紛争も、様相はがらりと変わるかもしれません。
ウクライナはアメリカという後ろ盾を失い、
結果ロシアと手打ちをして(せざるを得ないというべきですが)、
なるべく早く戦争を終わらせる方向に向かうと思います。
ただ、それがウクライナにとって良い道かと言えば、決してそうとは言えないでしょう。
パレスチナ・イスラエル戦争も、早期終結に向かうと思います。
ただ、それはイスラエルがパレスチナを圧倒する形での終結となり、
第一次大戦でイギリスが行なった「三枚舌外交」による遺恨は
中東地域の民族紛争としてこれからもさらに恨みの連鎖を生み、
さらなる流血の悲劇を歴史に刻むことになるかもしれません。
対中国では、中国経済が弱っているいま、アメリカはさらに経済的攻勢を強めるでしょう。
中国経済がさらに停滞すれば、習近平の国内での求心力も低下します。
そうなった時、習近平がはたしてどう動くのか。
習近平が台湾併合に求心力回復の活路を見出すシナリオは、充分にあり得ます。
トランプ大統領は、軍事・外交的な意味での対極東政策を明確に打ち出していませんが、
はたして欧州(ウクライナ)、中東(イスラエル、イラン)を早々に決着させ、
朝鮮半島有事や台湾有事への対応に本腰を入れるのかは未知数です。
当然、こうした大国の動きに日本も無関係ではいられません。
もし、極東でコトが起きれば、日本は国家の安全保障や日米同盟を盾に
トランプ大統領から難題を吹っ掛けられることすらあるかもしれません。
経済面についても、トランプ大統領は中国に関税をかけたり
中国企業をアメリカから排除したりするなど、容赦ない攻勢に出るでしょう。
また、トランプ大統領が肝入りで行なうであろう「不法移民対策」などでは、
同盟国にすら政策面で協調しない場合にペナルティ(経済制裁)をちらつかせることも考えられます。
こうしたやり口は、世界経済をさらに分断することでしょう。
これは強烈なインフレ圧力となって、日本経済にも襲いかかります。
日本でもインフレによって金利が急上昇すれば、
いよいよ日本は財政破綻に追い込まれて行くと思います。
いよいよ、私たちも本気で「生き残り」への備えを固めねばならない時期に来たのです。
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