天国と地獄
 

2024年10月2日更新

第245回  4つの天災

こんにちは。浅井隆です。
先日、宮崎県で震度6の大地震があり、南海トラフ地震の前兆ではないかと大騒ぎになりました。
率直に言って、私もその可能性は大いにあると思います。
警戒(南海トラフ地震臨時情報<巨大地震注意>)は解かれましたが、
南海トラフ地震は数年以内に起こってもおかしくないでしょう。
今後の日本は、南海トラフ地震だけではなく、
様々な大きな災害があると覚悟しておくべきでしょう。

今から1100年ほど前、平安時代の貞観(じょうがん)年間に
4つの天災が数十年の間に起きました。
「インド洋大津波」「東日本大震災と津波」「富士山大噴火」そして「南海トラフ地震」です。
最新の研究によれば、この天災の群発は偶然ではなく関連性があると考えられており、
しかも数百年単位での周期性もあると言います。

ひるがえって、21世紀に入ってからこれまでを振り返ると、
まず「インド洋大津波(2004年12月)」が来て、「東日本大震災(2011年3月)」が起きました。
すでに2つの大天災が発生しており、
残る「富士山大噴火」と「南海トラフ地震」の2つも発生する可能性が高まっています。
富士山は単なる噴火ではなく大噴火なので、特に関東圏の人たちは相当注意したほうがよいでしょう。
また「南海トラフ地震」は、この4つの中でも最大の被害を及ぼし得る点で要注意です。

縄文時代のように、海岸線に少しの人しか住んでない時代であれば
それほどの被害は起きないでしょうが、
現代は海岸線に多くの大都市があり、人口が集中しています。
もし仮に、いま南海トラフ地震が起きれば、すさまじい被害が避けられません。

たとえば、大阪湾と伊勢湾には大きな津波が入ってきます。
湾内の大都市には地下鉄や道路が走り、港や空港がありますが、
これらはすべて水没し、使い物にならなくなるでしょう。
もちろん、そこに住む多くの人たちの命や生活も脅かされます。
工業地帯や備蓄倉庫などもありますから、それらもすべて破壊されてしまいます。

南海トラフ地震によって、日本のGDPの30%位がなくなるという試算もあります。
もしそうなれば、一発で「国家破産」ということもあり得るのです。
いよいよ日本は、天災で大きな国家的被害を受ける時期にきたのかと思います。

私は、今の人類は平和な時期が長く続いたことで
思い上がってしまっているのではないかと思っています。
しかし、「災害は忘れた頃にやってくる」の言葉通り、
人類史を紐解けば巨大な天災によって文明や国家が瞬時に滅び、
あるいは大打撃を受けるという事はたくさん起きてきました。

たとえば、インドネシアのスマトラ島のトバ火山は7万4000年ほど前に大噴火し、
数千年間にわたり地球が真っ暗になりました。
その時、人類は絶滅寸前になったと言われています。
現在では長さ100キロ、幅30キロの大きな湖となっていますが、
これは噴火でできた巨大カルデラの名残です。

日本にも阿蘇山や屈斜路湖にカルデラがありますが、
これらも噴火によって周辺に大きな影響をもたらしました。
特に、今から7300年前に鬼界カルデラ(鹿児島南方の海底火山)が噴火した際には、
九州地方の縄文文化が壊滅し、人が住めなくなったと言います。

またご存じの通り、フランス革命はアイスランドのラキ山が大噴火し、
ヨーロッパが数年間真っ暗になりました。
天候が寒冷化して、小麦が穫れなくなりパンが不足したため
「パンをよこせ行進」が起きて、そこからフランス革命になりました。
マリー・アントワネットは、ラキ火山が噴火しなかったら
もしかしたら死んでいなかったかもしれません。
17世紀から19世紀にかけては新たな政治・思想が生まれた時代ではありましたが、
しかし天災がなければ革命までには至らなかった可能性すらあります。

私たち人類は、このようにたびたび自然の猛威にさらされ、
そしてそれによって歴史も大きく動いてきたわけです。

日本は世界的に見ても国土の小さい国ですが、
しかし世界の地震の10分の1がこの国で起きています。
私たち日本人は、地震や天災と共に歩んできた民族なのです。
そのことに今一度思いを致し、本当に気をつけた方がよい時期にきています。

身を守るための対策ももちろんのことですが、財産防衛も非常に重要になってきます。
ぜひとも、私が執筆した『ドルの正しい持ち方』『2026年、日本国破産シリーズ』を読んで、
対策の参考にしていただきたいと思います。


「天災は忘れた頃にやって来る」とは
よく言ったもので、今年の元旦に起こった
能登半島地震でもわかるように
「まさか」と言う時と場所で起きるものである。
いつ何が起きても、ある程度の対応が
できるように備えていることが大切だ
  (2024年9月 長野・軽井沢現代美術館にて)