まず1番目がベネチア(またはジェノバ)。
つまり、ルネサンス期のイタリアの都市国家です。
十字軍のヨーロッパの兵士たちはアラブの光り輝く文明を見てしまい、
戦利品としていろいろなものを略奪して持ち帰りました。
その後、略奪は貿易に変わって行くのですが、
それらの品物を持ち帰ってくる航路の終着点がベネチアだったのです。
水の都ベニスですね。ですからベネチアがものすごく栄え、
その富がフィレンツェ、ジェノバにも移って行きました。
特にフィレンツェでは「メディチ家」ができて銀行を作り、
ヨーロッパに広めて行ったのです。
ルネッサンスにおけるイタリアが、まず世界のリーダーになって行きました。
その後、スペインが台頭してきます。
スペイン、ポルトガルはほぼいっしょと考えられますが、
大航海時代が始まりコロンブスやマゼランその他などが出てきて、全世界に進出します。
まずアメリカ大陸を発見し、希望峰を回ってインド洋に出て行き、
そして織田信長の時代の日本にも種子島にポルトガル人がやって来て、
鉄砲が入ってきました。
この時、カステラをはじめとする西洋の品々、そしてキリスト教も伝来してきます。
そういう流れの中でオランダが出てきます。
オランダはスペインと違い、戦争によって侵略するのではなく、
貿易によって世界と交易しようとします。
その時、オランダで「チューリップバブル」が起こります。
当時、江戸時代だった日本が鎖国をする時に、
ヨーロッパで唯一交流を残した国がオランダでした。
当時はイギリスではなくまだオランダが覇権を持っていました。
そして、東側では中国(明)ですね。
その後、オランダが衰えた後にイギリスに覇権が移り、
大英帝国の統治する長い時代に入ります。
そしてイギリスは、明治維新の時に薩摩・長州を支援し、
日露戦争の時も日英同盟によって日本を支援してくれました。
ところがその後、覇権がアメリカに移りつつある中で、
日本はアメリカと大戦争になり、それによって叩き潰されてしまいます。
そのアメリカが今、どんどん衰えつつあるのです。
となると、次の覇権大国に思い至りますが残念ながら日本ではなく、
おそらく中国というのが世界の誰もが予想するところではないかと思います。
ただ中国は、もともと中国共産党という毛沢東が創り上げた強権独裁国家だったのですが、
それが現在、第二の毛沢東になりたい習近平によって牛耳られており、
非常に難しい時代に入っていると思っています。
そういう中で、私たちの日本がこれからどうやって生き残っていくべきかを、
「800年周期」と「覇権の移行」の二つを知らずして
乗り越えることはできないと私は思っております。
歴史に詳しい人は気付いたと思いますが、
実はイタリアはかつてスペインと非常に深い関係がありました。
一時スペインが強い時に、イタリアのナポリはスペインのものでした。
位置的に遠くとも船ですぐに行けるところにあったこともあり、
同盟国というか非常に近い関係だったのです。
現在でもスペイン語とイタリア語は似ていると言われています。
そして、スペインと次の覇権大国であるオランダを見ると、
オランダは一時スペインの植民地でした。スペインから独立したのです。
オランダとイギリスは同盟国までとは言いませんが、言語も似ているところがあります。
英語は「Thank you(サンキュー)」ですが、ドイツ語は「Danke(ダンケ)」、
オランダ語は「Dankuwel(ダンキュウェル)」なのです。
ここからもわかるように、オランダとイギリスも非常に親しい関係でした。
そしてイギリスとアメリカの関係ですが、もともとアメリカはイギリスの植民地で、
そこから独立戦争で独立して同盟国となります。
このように非常に近い、親しい間で覇権の移行が行なわれていたのです。
「覇権」というのはどういうことかというと、
世界を牛耳るほどの強い力を持った国家ということです。
つまり、誰かが世界の秩序を乱すようなことがあれば、
覇権大国が世界の警察国家の役割を果たすことで世界は平和が保たれていたわけです。
ですから、たとえばローマの平和を「パクスロマーナ(Pax Romana)」と言い、
アメリカの時代は「パクスアメリカーナ(Pax Americana)」と呼ばれていました。
その「パクスアメリカーナ」は、今や崩壊しつつあります。
問題は、次の中国です。中国は共産主義であり、独裁主義です。
今のアメリカとは全く違う、そして今までの全ての覇権大国と違うわけです。
ですから、覇権の移行においても大きな摩擦が起きており、
ましてや文明の移行という面では、もっと巨大な軋轢が起ころうとしています。
そう考えると、私たち日本人は今後、よほどしっかりしないといけません。
しっかりとした目的・目標を持たなければならないのです。
本当は、こんな時に財政破綻なんかしてしまってはいけないのです。
ですから私は今、日本が破綻した時に次の日本を再建できる
大きな見取り図(青写真)を練っています。
これを日本国政府が採用するかどうかはわかりませんが、
それくらいの志を持ってやらないといけないと思っています。
この「800年周期説」と「覇権の移行」そして「文明の移行」については、
『文明と経済の衝突』並びに『9.11と金融危機はなぜ起きたか!?』(第二海援隊刊)
をぜひお読みいただきたいと思います。
両書とも古い本ですので、書店には売っていないと思います。
直接、第二海援隊出版部(℡:03-3291-1821)までご注文下さい。 |