天国と地獄
 

2017年10月5日更新

第35回 ウクライナの子供たちを福島に招待

 

今回はボランティアの話をしましょう。
以前、「CheFuKo(チェフコ)」の紹介をしたと思いますが(第22回コラム参照)、
CheFuKoは一般社団法人のボランティア団体です。
営利団体とは違って、正式名は「一般社団法人 世界の子供たちのために」と言います。
通称「CheFuKo」。
これは、海外に行った時にわかりやすいようにと名付けました。
チェルノブイリの「Che」、福島の「Fu」、そして子供たちの「Ko」と
3つの頭文字から取っています。
つまり、放射能汚染で酷い目に遭った世界の子供たちのために
何かできないかと考え、立ち上げた団体です。

具体的な活動としては、福島へ毎月1回訪問して温熱施術をしたり、
保育園や幼稚園の支援をしています。
福島市の郊外に「花見山」という美しい花々で有名な場所がありますが、
そこに避難してきた人々が今でもたくさんいますので、
その方々の支援もしています。
そして、福島に関する研究なども行なっています。

それ以外の活動として、年1回チェルノブイリの近くのウクライナを訪れています。
ウクライナの首都はキエフですが、
そこから約100km離れた「ジトーミル」という街に放射能汚染を受けた人々が住んでいて、
その街を訪問しています。
驚くべきことに、私たちが支援している小学校では、
通学している子供の中で完全に健康な子は全体の2割もいません。
8割以上の子供が、何かしらの異常を身体に感じています。
チェルノブイリの場合はかなりの量の放射能が放出されてしまったために、
そういう状態に至っていると考えられます。

いろいろな障害を持っていて健康状態が悪いのに、
私が訪れた学校の子供たちの表情は素晴らしい笑顔でした。
そして「今、福島は大丈夫なのか?」「日本のために支援したい」などと
小学生・中学生の子供が言ってくれるのです。
びっくりしました。
果たして日本の子供たちの中にそういうことを言える子供たちがいるのだろうか……と思いました。
しかもウクライナは今、ロシアによって酷い目に遭っており、
領土の一部も奪われてしまって経済的にも大変なのです。
それなのに、他者をいたわる言葉で気持ちを伝えてくれるのです。
その姿に私たちも大いに感激して、交流を深めることができました。

今回、初めてウクライナの子供を3人、福島に呼びました。
そしてホームステイをさせたり、小学校を訪れて給食を一緒に食べたり、
いろいろな場所を見て回ったりしました。
ウクライナは貧しい国ですから、日本を訪れるということは1つの夢なのですね。
子供たち3人に大人の付添い女性2名、計5名を招待して、
日本の子供たちと交流する場を作りました。
その写真を載せておきますので、ご覧になって下さい。

 

福島駅にてウクライナの子供たちと

(2017年8月 福島にて)


そして、皆さんもぜひCheFuKoにお越し下さい。
ボランティア活動を一緒にして下さる方を募集しています。
なかなか福島に足を運べない方は、CheFuKoのオフィスの手伝いや義援金でサポートすることもできます。
チェルノブイリだけではなく、ネパールで大地震が起こった時にもすぐにスタッフを現地に送りました。
それ以降も年に3~4回“温熱軍団”をネパールへ派遣して、現地の人の心と身体のケアを行なっています。

温熱軍団というのは、
温熱機器を使って熱と遠赤外線で体を温めて健康にする施術を行なうスタッフ集団のことです。
救助隊とは違うので、救助犬を連れて工具を持参して人を助けることはできませんけれども、
被災地の人々はずっと大変な状況が続くわけですから、
その人たちの体を少しでも楽にしてあげたい、
悩みを聞いて心のケアもしてあげたい、
そういう思いを込めて福島、ネパール、ウクライナで温熱施術をしています。

今や、ネパールでは国を挙げて私たちを歓迎してくれます。
マスコミも大勢来て大騒ぎで迎えてくれます。
私たちCheFuKoの活動は日本ではほとんど知られていませんが、
ネパール、チェルノブイリでは認められ始めています。
海外に日本人の良さを伝えて日本の印象を上げていますので、
「民間外交」という点でも大きな効果を発揮しているのではないかと思っています。

今、世界情勢はいろいろと厳しいですけれども、
CheFuKoはそういう中でも少しでも何かお役に立つことができないかと考え、活動しています。
私が最高顧問を務めています。
皆さんもぜひ、この活動に注目して頂けますと幸いです。

浅井隆