天国と地獄
 

2020年8月5日更新

第137回 父から受け継いだボランティアの精神

 

先回のこのコラムの中で、私の父親が60歳を過ぎてからボランティア団体を立ち上げた、
という話を書きました。若い時から私も父を見習いたいと思っていましたので、
数年前に「一般社団法人 世界の子供たちのために」(通称:CheFuKo)という
ボランティア団体を立ち上げました。現在も、積極的に活動しています。

具体的には、東日本大震災に伴った福島の悲惨な原発事故の被害にあった子供たちを救おう、
ということを目標にしました。
そこから、同じく大きな原発事故が起きたウクライナのチェルノブイリの子供たちにも
手を差し伸べようということになり、今は福島(東日本大震災)、
ウクライナ(チェルノブイリ原発事故)、ネパール(ネパール大地震)の3ヵ所を中心に
支援活動をしています。
当初は単発(1~2回)の支援でもよいので、できることをしたいと考えていましたが、
先方が歓迎してくれたことに背中を押されて、継続して行なうことになりました。

ご存じのように、ウクライナは旧ソ連(ロシア)と対立しています。
そのウクライナに着いてまず驚いたのは、
首都キエフの空港の電灯がほとんど点いていなかったことです。
「え、これが空港?」と思うほどでした。
両替所の電灯も薄暗く、開いているか開いていないのかわからないほどでした。
私は国家破産した当時のロシアにも行っていますが、
ウクライナも当時のロシアに負けないくらい貧しいことに驚きました。
旧ソ連の時代からウクライナは軍需産業で栄えてきましたが、
もはやその面影はなく、実にひっそりとしていました。
チェルノブイリ原子力発電所の事故の影響もあるでしょう。

独立後のウクライナはロシアと常に対立し、
ロシアによってクリミア半島が強奪されたのは記憶に新しいことです。
経済も不安定な状態が慢性化していて、数年前には通貨フリヴニャが大暴落を起こしました。
そして今回のコロナ禍によって、さらにひっ迫した状態になっていると思われます。

さて、首都キエフから車で2時間位のところにジトーミルという町があります。
チェルノブイリから近いということで、その場所を活動の拠点に選んだのですが、
そこでドンチェヴァさんという現地でボランティア団体をやっている女性と知り合いました。
彼女と一緒に地元の学校を訪問し、子供たちに文房具などを寄付する中で、
多くの意見交換をしました。

ウクライナの子供たちと会って驚いたのは、その明るさです。
パワーがあり、何をするにもとても一生懸命でした。
「日本の子供たちは、さすがにここまで元気じゃないな」と感じたほどです。
ところが、その学校の子供たちの2割は放射能障害を患っていて、
その中には走ることも出来ないほど体力のない子もいる、
ということを後で聞いてとてもショックを受けました。
会ったときはそんなことを感じさせないほど素敵な笑顔で、
私たちを心からもてなしてくれたことが強い印象として残っています。

また、自分たちも、そして自分の国も大変な状況なのに
「福島の子供たちは大丈夫?」と福島のことを気遣ってくれる姿に私は勇気をもらいました。
この国と、この子供たちをずっと支援していこうと思った次第です。
それからCheFuKoを通じて継続的に支援をさせてもらっていますが、
今年は新型コロナウイルスの影響で断念しました。
ネパールもそうですが、海外には行こうにも行けません。
もちろん、これは仕方のないことです。

最近の世界情勢は緊迫度を増しており、自国ファーストを掲げる政治家が
世界中で台頭してきています。
もちろん、自国の利益を最大限にするために最善を尽くすのが政治家の役割ですが、
それとは別に子供たちの笑顔に国境はないとも強く思います。
これだけは世界共通の利益(宝)です。
自国を大事にするのはもちろんですが、支援を求めている外国の子供たちに
手を差し伸べるということは、結果的にその子供たちの日本への理解にもつながり、
将来的に外交関係へも良い影響を及ぼすと私は確信しています。

残念なことに今年は開催できませんが、
毎年、数名のウクライナの子供たちを福島に招待してきました。
短い日程ではありますが、彼らを福島を中心に様々な場所に連れて行き、
行く先々で多くの日本人と交流してもらい、ハイライトは海で遊んでもらうのです。
ジトーミルやキエフは内陸なので、子供たちは海を見たことがありません。
初めて見る海に、子供たちは大いに感動したと聞きました。
この交流は時世が許す限り、来年以降も続けて行きたいと思います。

CheFuKoは数名の専任スタッフが運営するボランティア団体ですが、
短期・長期にかかわらず常にボランティアを募集しています。
今年は国内(福島)での活動が中心となりますが、
このコラムを読まれた方でボランティアに興味があるという人は、ぜひお知らせください。
大歓迎です。一緒に福島へ行きましょう。

私たちがボランティア活動の中心に据えているものの一つに、
「温熱療法」の施術があります
(温熱療法の詳細は、当ブログのバックナンバーをご覧ください)。
「温熱療法の施術がボランティア??」と不思議に思うかもしれませんが、
私たちは温熱療法を施術することで皆さんに少しでもやすらぎと元気を提供できればと考えています。
しかも、実際にやってみて思うのですが、温熱療法はとても喜ばれます。
福島はもちろん、ウクライナやネパールからも毎年どころか
毎月「温熱軍団」に来て欲しいと言われているほどです。
それもあり、CheFuKoの支援活動の中心に、「温熱療法」をしながらの交流を掲げているのです。

以前からお伝えしてきたように、私もずっと温熱療法を受けています。
体を温める事で免疫力を上げ、自律神経を整えるという意味で非常に効果があると思います。
いつも施術中に20分くらい寝てしまいますが、そこで睡眠不足を解消でき、
とてもリラックスできています。私がこうして元気に活動できているのも、
温熱のおかげといっても過言ではありません。

ところで、新型コロナウイルスの影響(移動制限)もあり、CheFuKoでは新たな活動を始めました。
新型コロナウイルスにより日本でも大変な経済的な被害が出ていますが、
なかでも深刻な状況にあるとされる、“シングルマザー”への支援です。
こうした支援の詳細はHPやSNSで紹介していますので、ぜひ一度ご覧ください。
皆さんのご支援、お問合せをお待ちしております。
(一般社団法人 世界の子供たちのために CheFuKo <チェフコ>
           info@chefuko.org   TEL:03-5577-3155)

毎年、数人の子供たちを
交代で来日させている。
今年は残念ながらコロナ禍で
中断しているが、
去年は御茶ノ水の私の事務所で
元気に歌と踊りを披露してくれた。
 (2019年8月 東京・御茶ノ水にて)

その功績を称えられ、
ウクライナのジトーミル市から
勲章を頂いたこともある。