ベネズエラは、今でも原油埋蔵量はサウジアラビアを上回って世界一と言われています。
かつてはそれを元に安定し、豊かであった国であったのですが、
その豊かな資源に胡坐をかいて悪政が続くとこうなってしまうのです。
技術も経営能力もない軍出身者が国営石油会社のトップに座り、
給与も未払いとなったため優秀な技術者はほとんどみな国外に出て行ってしまいました。
石油はあるのにほとんど掘れないという状況になり、
産出量も激減してしまっているのです。
こうして経済が破壊され、一度ハイパーインフレに入ると抜け出すことは至難の業です。
経済が破壊されると、治安も想像を絶するくらい悪化します。
この悲惨な状況は、決して他人事ではないと思います。
日本の借金状況は極めて深刻です。
ですが、異常な金融緩和により日銀が国債を大量に買っているため金利が押さえられ、
深刻さが忘れられているのです。
しかし、専門家はわかっています。
財政学が専門の土居丈朗慶応義塾大学教授は、
2月18日付のブルームバーグのインタビューで、
現在のような財政拡大と日銀による国債の大量購入が続けば、
「1万円札が紙切れになるかもしれない」と述べています。
また、青山学院大学教授の福井義高氏は、
1月29日付産経新聞の正論欄に「本当に国は『借金』があるのか」と題する論考を寄稿しましたが、
そのラストは衝撃的なものでした。
福井氏は、ハイパーインフレは「大増税を通じた財政再建よりも望ましい可能性がある」と述べたうえで、
「それが安倍首相の本心だとしたら、大変な策士だ」という言葉で論考を締めくくっているのです。
私たち日本人は、ハイパーインフレのベネズエラのことを
「こんな異常なことは日本ではあり得ない」などと、
見物気分で眺めていることはできないと思います。
ですから、お互いに心してこのベネズエラ情勢を注視していきたいと思います。
そして、ぜひ4月中旬に発刊する拙著
『国家破産ベネズエラ突撃取材――1000万%のハイパーインフレ』を
お読みいただきたいと思います。 |