ニュージーランドの気候は温暖で、特にオークランドでは冬でも雪が降りません。
住む所としては最高の場所だと言えるのですが、
ただ一つ問題なのは、不動産が異常に高いということです。
ニュージーランド国内随一の都市であるオークランドと日本一不動産が高い東京を比較した場合、
東京よりも高いのです。
オークランドの中心街をちょっと外れたところ、
東京で言えば杉並区、江戸川区あたりに相当する場所では、
ほんのちょっとした庭がついたすぐには住めないようなボロボロの家ですら、
1ミリオンNZドル(100万NZドル)もします。
現在のニュージーランドドルが75円ですから、
単純計算では7500万円となりますが、こちらは物価水準が高いので、
感覚的には1NZドル100円ぐらいになります。
つまりオークランドの物件相場は、おおよそ1億円ということです。
東京では、1億円も出せばそれなりのマンションや住宅が見つかります。
しかし、ここではちょっと手を入れたところですぐには人が住めないような
ボロ屋が1億円もするのです。
これがまともな家となると、なんと2億円以上出さないと買えません。
物件相場は、感覚的に言えば日本の倍はします。
しかも聞くところによると、ちょっとした修繕工事では業者の人が来ないというのです。
日本でなら、水道が壊れたと言えばすぐに業者が修理に来てくれますが、
こちらでは今ではなかなか来てくれないのだそうです。
建設ラッシュで、建築に携わる職人が慢性的に不足しているのです。
にわか大工まで出てきている有り様で、
これは2000年代初頭のITバブル時に米国のシリコンバレーで見聞きした話と同じ状態です。
当時、バブルによる景気の過熱で人手不足と修理費の急騰が起きたため、
シリコンバレーでは安い修理にはまったく業者が来ませんでした。
私はその時、なぜそんなことが起きているのか、
そしてその後なにが起きるかを知る由もなかったのですが、
間もなくITバブルが崩壊しシリコンバレーに深刻な不況の嵐が吹き荒れたのを知って、
「あれがバブル絶頂のシグナルだったのだ」と気づき、
とても悔しい思いと共に重要な気づきを得たのです。
私はそれ以来、「修理業者」もひとつの参考指標として心がけているのですが、
ニュージーランドは今まさに「そういう状態」なのです。
たとえば、修理を呼んでも数十万円位の案件では来てもらえない、
1000万円単位でないと人が来ないそうです。
その意味でもまさにニュージーランドは完璧にバブルの真っ只中で、
末期症状が出始めているのです。
お隣のオーストラリアでは、すでに不動産は急激に下がり始めています。
これを受けて、先日オーストラリアの中央銀行が
「今後の景気見通しが悪化する」という警告を出しました。
私はニュージーランドにも半年遅れでこの流れが来ると見ています。
具体的には今年の夏、8月位からニュージーランド経済も相当悪くなると思われます。
第78回のコラムでも触れたように、
すでに街を歩いているとメインストリートでもホームレスが寝ていたり、
物乞いが小金をせびっていることもあります。
もちろん、まだ治安は良いのですが、景気の悪化と高騰しすぎた不動産価格で、
家がない人がそれなりの数いるのです。
日本のバブル崩壊でもそうであったように、上がり過ぎたものは必ず下がるのです。
世界的な大変動に備えて、皆さんもぜひ大切な財産を守って欲しいと思います。
『恐慌と国家破産を大チャンスに変える!』(第二海援隊刊)という本も発刊しましたので、
ぜひそれを読んでいただきながら
(また、4月末にはベネズエラ国家破産取材の本も出します)
皆さんと一緒に生き残りたいと思います。 |