今回の年末年始を、私は取材のため南米で過ごしました。
アルゼンチンとキューバを取材したのです。
まずはアルゼンチンですが、アルゼンチンというと、
なにしろ日本から一番遠い国、実際に地球儀で見るとちょうど反対側に位置します。
不思議ですが、私たちはこんなに科学が進んだ時代でも、
地球が丸いということを私を含めてあまり認識していないようです。
どうしても、地球は平面だという感覚がありますが、
私がアルゼンチンにいる時、
日本にいる私の家族や友人、社員たちはちょうど上下反対側を向いて立っているという、
不思議な場所なのです。
今回、たまたまエールフランスを使ったので乗り継ぎが悪く、
羽田を出発してからブエノスアイレスに着くまで47時間、ほぼ丸2日間かかりました。
途中、パリでも次の便まで20時間待つというとんでもなく長い旅でしたので、
ブエノスアイレスに着いた時には、ヘタヘタとまでは言いませんが、
かなり疲れているなという感じがしました。
時差は12時間なので、計算するときは楽です。
こちらが朝の9時の場合、日本は夜の9時です。
ただ、体はよく12時間の違いをわからないようで、何か変な感じでした。
皆さんはアルゼンチンと聞いてイメージするのはタンゴでしょうか?
ところが私が現地で得た強い印象は、「牛」です。
現地にはパンパという広大な平原があり、
そこにはガウチョというカウボーイがいます。
アメリカの北米のカウボーイとはちょっと違いますが、
人口と同じだけ牛がいるということです。
現地の人は「アルゼンチン人の主食は牛肉」だと言って憚りません。
私たちも早速、牛肉の美味しい店に行ったのですが、すごかったです。
まず、1人あたり500グラム位の肉が出てきて、
その後も骨付きなど様々な肉が次から次へと出てきました。
やはり、骨付きが一番美味しかったです。
歴史の話になりますが、アルゼンチンというと
「母を訪ねて三千里」という小さな男の子が出てくる物語を
覚えている方もいらっしゃるかもしれません。
実は、それに登場する主人公の少年のマルコというのは、イタリア人なんですね。
あれは、今から140年位前の話ですが、
マルコのお母さんが母国(イタリア)が貧しいという理由から
アルゼンチンに出稼ぎに行き、
そこで連絡が取れなくなったお母さんをマルコ少年がはるばる捜しに行くという内容です。
アルゼンチンというと国が破産してデフォルトを7回もしたと言われ、
中には「南米の落ちこぼれ」と揶揄する人もいます。
実際、2001年の国家破産の時はバンク・ホリデー(銀行封鎖)が実施されるなど
騒乱状態に陥りました。
現在も経済危機に見舞われているので、
私たち日本人からしたらちょっと信じられないかもしれませんが、
140年前は「アルゼンチン人」といえば世界ではお金持ちの代名詞だったのです。
当時のアルゼンチンは、牛肉、羊毛、その他を輸出して、
世界一とも言われる財を成していました。
そのお金持ちの国に、マルコの母親は出稼ぎに行ったというわけです。
マルコはすぐに母親が帰ってくると思っていましたが、なかなか帰ってきません。
マルコは一人で船に乗り、母親を探しに行きました。
そしてブエノスアイレスの港にたどり着いたのです。 |