天国と地獄
 

2018年10月25日更新

第73回 教育は誰がするのか?

 

今回、札幌を訪れて初めて「タワーホテル日航札幌」に泊まりました。
サービスがとても良く快適でした。
また、被災直後で空いていたせいもあるかもしれませんが、
スタッフさんが時間をかけて丁寧に接客してくれました。
すっかりホテルのスタッフと話し込んでしまいました。  
私が泊まったのは30階で、22階に素晴らしいスパ兼大浴場がありました。
豪華な檜風呂で、そこから見える景色が抜群です。
天気が良かったこともあり、札幌中が見渡せました。
周辺の山や小樽まで見えていました。のんびりと、しばらく温泉に浸かっていました。

しかし、そこで“事件”が起きました。
「温度もちょうどいいな。それにしても、(温泉を出すために)地下を掘るのは大変だったろうな」
などと考えながら洗い場に行ったのですが、
そこで相撲取りのような体格をした数人の男達と遭遇しました。
おそらくどこかの大学の相撲部か、元相撲部で今はどこかの企業に勤めているといった感じです。
体格が一般の人と明らかに違っていました。
髪を洗ってもう一度大風呂に浸かり、
上がるタイミングで体格の良い彼らと入れ替わりになったのですが、
上がり湯を使いに洗い場に行ったところ、
驚くことにシャワーが流しっぱなしになっていたのです。
私は、唖然としました。
道内のそこかしこで節電が求められ、多くの地域で水が出ない状態です。
シャワーを出すには電気も使います(もちろん、節電時でなくとも節水は基本です)。
私は、彼らに注意しました。
「君たち、これはまずいよね。節電している時に。止めなさい」と言いました。
すると、そのうちの一人が激昂し、こう言い返してきたのです。
「気づいたらお前が止めろよ!」。これにはさすがに頭にきました。
「人間としての最低限のマナーだ」と言うと、なんと、殴りかかってこようとしたのです。
さすがに仲間の一人が制止しました。
もし殴られたら、殴られた衝撃と床で滑って死んでいたかもしれません。
残念なことに、周りにいた中年のおじさんたちは皆、知らんぷりでした。
怖かったのでしょう。誰も注意をしないし、私を助けようともしませんでした。
私はその状況に、大いに失望しました。
馬鹿な若者にはもちろんですが、いい歳をして無関心を決め込む男たちにもです。

確かに、無用な面倒を避けるというのがこの世のセオリーです。
危険を察知したら関わらない、真っ先に逃げるということも必要でしょう。
しかし一方で、彼らのあのような振る舞いは、
問答無用というか、日本の恥というぐらいのものです。
しかし、私も含めた大人にも責任があります。
若い人の教育に関心を持たず、半ば放置してきたという責任です。
これを、政治家のせいだけにはできません。
私たち一人ひとりの責任なのです。
私はもうじき六四歳になりますが、そのこと改めて痛感し、
日本の教育を改革しようと思うに至ったのです。

率直に言って、現代の親は基本的に躾が甘いと思います。
もちろん、全員ではないでしょうが、
多くの親が子供が小学校に入る時までにきちんとした躾をしていません。
小学校に入学すると、学校で先生が厳しく怒る。
先生が怒るのは当たり前なのですが、
近年では「モンスターペアレント」が急増していますから「うちの子に何をするんだ!」となる。
私は、先生は子供に厳しくし、時と場合によってはかなりの厳しさで叱ることは必要だと思います。
実際、自分の子供が悪さをして先生にこっぴどく叱られた時は、
「すみません。うちの子供が悪いのです。よくぞ叱って下さいました。
もっと厳しくして下さい」と感謝の気持ちを伝えました。
私個人は、先生による(時と場合にもよりますが)体罰を許可するにあたって、
一筆書いてもよいと思っています。
今は、学校の先生にとって苦難の時代です。
生徒ばかりか親までもが先生をいびり倒し、うつ病になってしまう先生も多数います。
親に躾をされていない子供が学校をグチャグチャにし、それを先生も注意すらできない。
ちょっと厳しく言ったら親が飛んで来て、「うちの子に何てことするんだ!」と。
最悪な世の中ですね。
まず、親の教育からしないといけない。
全員がそうではありませんが、私が見るところ、10人中優れた親は1人か2人です。
普通の親が6人、後の2人の親はモンスターペアレントかそれに類する人々です。
まずは、親の教育が必要ですね。

それに学校の教育改革も必要ですね。
ドイツでは“マイスター制度”があり、ある専門の職人になりたい人の場合は、
高校からその専門の技師による授業を受けることができます。
正直、日本の職業専門学校よりすごいと思います。
大工になったり、パン職人になったりと、
世の中に通用する職人になれるように指導するのです。
子供の中には、勉強嫌いな子もいます。
勉強に向いていない子を、親が半ば強引に高校と大学に行かせても、ほとんど身に付きません。
意味のない知識を詰め込ませるより、
“誇り”と“手に職”を持たせることの方が重要です。
ドイツのように厳しい親方のもとで訓練し、
ある程度のレベルに達したらマイスターとして称号を与え、専門家としての資格を与える。
そして、この資格を持っている場合は大卒のサラリーマンより給料が高い、
というように優遇されるべきなのです。

今回、地震直後の北海道に行って体験したこと、
生まれたばかりの三番目の孫の顔を見られたことも含め、とても貴重で有意義なことでした。
もちろん、あの風呂場での一件も忘れられません。
若者の教育を放置してきた責任の一端は、私にもあると改めて痛感しました。
私は政治家になる気はありませんが、
日本を良くするためには人材を育てるしかありません。
そのためには、まず躾からしないといけない。
私の子供は、高校時代にグレていました。
しかし、私の言うことは聞きます。
なぜなら、3歳まで本当に厳しく育てたからです。
絶対にしてはいけないということを、徹底して教えました。
これこそが真の愛情というものです。
かわいい子は千尋の谷に突き落とせ、と言うでしょう。
真の愛情を注いだからこそ、今でも付いてきてくれるのです。
今の若い人を見ていると、中にはSNSなどばかりにのめりこみ、
人と上手く喋れない人がいます。
コミュニケーションが取れない、これは恐ろしいことです。
大人にも言えますが、たとえば電車の中ではずっとスマホをいじって、
周囲に関心を示さない。
人が倒れてもまるで無関心でいる人も多くいます。
そういう社会に変容してしまいました。
機械は進化していますが、人間の精神性は退化していると言わざるを得ません。
やはり、日本の教育を根本から変えないといけないのでしょう。
今後は、「CheFuKo」や「第二海援隊グループ」でも
日本の教育問題について考えて行きたいと思います。
また、こういった本は残念ながらあまり売れないのですが、
出版もして行きたいと思います。
皆さんも、ぜひお力添え下さい。

これからの世代のために
私たちがしてあげられることの一つが”教育だ”。
少しでも良い世の中を残していくことが、
先に生きている者の務めである。

(北海道・清田区にて 2018年9月)