天国と地獄
 

2018年10月15日更新

第72回 北海道地震の被災地を訪ねて

 

先日、北海道の地震がおきてから8日目に現地に行って来ました。
今回の地震で亡くなられた方々に、心より哀悼の意を表します。
道路がグチャグチャになり、液状化で大問題になっている札幌市清田区に
私の長男夫婦と孫が3人住んでいます。
そして長男の嫁の実家のお義母さんは、震源地の安平町早来に住んでいます。
その2ヵ箇所に行ってきました。
どんな状況なのか確認し、短時間でしたが彼らと会って話もできました。
私は事前に電話をして、必要なものを聞いていました。
牛乳、生卵、お粥、冷凍食品、美味しいレトルト食品……、
色々な物をスーツケースに入れて、手荷物をかかえて現地に入りました。
平安町早来の家は、一部がモルタル作りのため外壁が剥がれたりしていました。
修復にはそれなりの費用がかかるので、義援金も置いてきました。
人生はお金が全てではありませんが、災害など困った時にはお金が必要になります。

私は以前から安平町早来は地盤が良いと思っていたのですが、
本当にその通りで、最大震度が7か6強だったのに道路が全く壊れていなかったのです。
家は、モルタルが少し壊れた程度です。
家の中は、地震直後こそ物が飛んだりしてグチャグチャになったと言っていましたが、
大きな家具が倒れたりせず、怪我もしなかったようです。
長男夫婦の住んでいる清田区も周囲は液状化の問題に見舞われましたが、
長男宅自体は地盤が良いところにあったので被害はなく、
一部道路工事はしていましたが、見た目は何ともありませんでした。
一方、谷を埋めたところとか、田んぼの跡とか、そういった所は被害がひどかったです。

節電中の札幌駅。

休日早朝とはいえ、人もまばらだ。

住む場所の選定は、極めて重要です。くれぐれもよく考えて選定してください。
津波が来そうなところ、最近は来ていなくても何百年か前には津波が来てたくさん人が亡くなったところ、
埋め立て地、川や谷だったところなど、そのようなところは確かに安いですが、
結局は安かろう悪かろうでしかありません。
そういうところに住まざるを得ない場合は、決して買わず、賃貸でいいと思います。
そして今回の地震から学べることは、崖崩れが起きそうなところ、
液状化するようなところは絶対に住んではダメだということです。

皆さんは信じないかもしれないですが、
浅井隆というペンネームになって本が売れて、
サラリーマンの時とはケタ違いの収入になった時でも、
私は10年近く成城にある賃貸の普通の2LDKのマンションに、家族4人で住んでいました。
私のファンが見たら、「こんなところに浅井隆が住んでいるはずがない!」と言われるようなところでした。
家は、お金に相当な余裕ができ、現金で土地も家も買えるようになってから建てました。
しかも、経済の動向を探りながら、2003年の一番景気が悪い時期、
すなわち建築資材も安くて大工さんも余っている時に最高の設計を施してもらいました。
今建てたら、その当時の2倍はかかるかと思います。
昨今は人手不足ですから、時間もかかります。
家を建てるタイミング、そして場所はとても大事です。
私の家は世田谷の成城の台地にあり、水害に極めて遭いにくく、
洪水には遭うこともないでしょう。
私は心配性ですから、さらに1階を80㎝上げました。
どんなことをしても水が来ないようにしたのです。
そもそも津波が来るような場所ではないのですが、
それでも千年に一度という災害にも耐えられるようにしたのです。
自分と家族の命に代わるものはありません。
つまらない見栄やしがらみにとらわれないで、
賃貸でも良いので安全な場所に住むことをくれぐれも心がけてほしいと思います。

札幌には、私のファンの中でも“大”が付くファンが2人いらっしゃいます。
その方たちにも会って来ました。
本当に疲れ果てていました。
どちらも裕福な方ですが、そのうちの1人が前回、
札幌にある日本一と言っても過言ではない寿司屋で接待してくれましたので
今回は私が身銭を切ってご馳走しましたら、泣くほど喜んで下さいました。
でも、寿司屋はガラガラで、外国人観光客の姿も見えませんでした。
札幌駅上のJRタワーホテル日航札幌に泊まったのですが、そこもガラガラでした。
外国人も含め、観光客はほとんどキャンセルしているのでしょう。
余震があるかもしれないという恐怖心からだと思います。
1日も早く、元の活気ある北海道に戻ってほしいと思いました。

たくさんの支援物資を持って北海道入り。
地盤や地形によって、
被害の明暗が分かれた事がわかった。

(北海道・札幌にて 2018年9月)