天国と地獄
 

2018年2月5日更新

第47回 ネパールからの訪問客

先日、大変珍しい人が私のオフィスに来られました。
ラメス・タパリヤさんというネパール人の方です。
このコラムをお読みになっている人で、
ネパールの人に会ったことがあるという人はあまりいないのではないかと思います。
ネパールがアジアの国であることは多くの人が認識していると思いますが、
「はて、どこにあったかな?」という程度の知識だと思います。
ネパールはインドの真北にあって、エベレスト登頂支援のシェルパがいる国としても有名です。
また、ヒマラヤ観光も有名ですね。

実は、数年前に大地震が起こり、ネパールの首都カトマンズは大変な被害に遭いました。
人々は皆、右往左往するような状況で、もともと貧しい国ですから復興資金も少なく、
大変困っているということを知りました。
そこで、私が最高顧問を務めている「CheFuKo(チェフコ)」という
一般社団法人のボランティア団体(第22回・第35回コラム参照)の代表理事に、
「なるべく早くネパールに行こう」と話しました。
地震が起こってから2週間後の被災地に向かうわけですから、
本人たちはビビッていましたが、
私は「行けば何とかなる」という考えで彼らを送り出しました。
彼らは、地震で大変な思いをされている人々の身体と心を温熱療法で癒す
“温熱軍団”として目的を抱いて現地に向かいました。

被災地で温熱療法をするためには“電源”が必要になるのですが、
地震で大変な状況に陥っているのだから電源がないかもしれません。
それでも私は「行けば何とかなるだろう」という思いと共に、
新聞社時代に取材で経験したことを活かして3名のスタッフを現地に送り出しました。
すると、現地で助けてくれる人がいて、幸いなことに電源もあって、
揺れが続いている中でも多くの人に温熱を施術することができました。
そして、現地の人々から本当に感謝されました。
これをきっかけに、その後も年に3~4回、“温熱軍団”を派遣し続けています。

今や、ネパールでは国を挙げて私たちを歓迎してくれます。
国の大臣や警察のトップ、そして一般の人々も大勢で迎えてくれ、
「今度はいつ来てくれるのか?」と楽しみに待っていてくれます。
そして、日本でいえばNHKにあたるテレビ局や新聞社が取材に集まってくれて、
大特集を組んでくれます。
今、ネパールに行くと「日本と言えばCheFuKo」というくらいの影響力を持っています。
大変ありがたいことだと思っています。

地震が起きて間もない時には、日本の赤十字社も含めて世界中から国際救助隊のような、
救助犬を連れてがれきの下から人を救い出す隊員たちもたくさん来ていました。
しかし、その救助活動も1、2ヵ月も経つと終わってしまうのが普通で、
ずっと継続して援助に来ている団体は私たちの他にはないそうです。
もちろん、私たちは救助隊とは違うので、
がれきの下から人を助け出すようなことはできませんが、
ケガをした人や生き残ったものの苦しい思いをしている人たちの心の支えとなり、
身体を癒して「頑張ろう」と元気づけるために活動を行なっているのです。
しかし、ここまでネパールで感謝されるとは、思ってもいませんでした。

CheFuKoがこのような活動をしている間に、
ネパールとタッグを組んで孤児や貧しい子供たちに何かできないかと考え、
「里親制度」や「学校の支援」なども行なってきました。
ラメス・タパリヤさんはCheFuKoがネパールで活動する際の協力者で、
現地のNGO「Happy Earth」の総務をされています。
その彼が、ぜひ私に会いたいと、わざわざ来日して下さいました。
残念ながら、私自身はまだネパールを訪れていないのです。
彼と一緒に、御茶ノ水の第二海援隊と同じフロアにあるCheFuKoで撮った記念写真を載せておきます。

ネパールのNGO
「Happy Earth」で働くラメス・タパリヤさん。
「CheFuKo」の活動に感動して、
わざわざ来日して私を訪ねてくれました。

(東京・御茶ノ水にて 2017年12月)

前にもお話したかもしれませんが、
CheFuKoという名称はチェルノブイリの「Che」、福島の「Fu」、
そして子供たちの「Ko」と3つの頭文字から取っています。
つまり、放射能汚染で酷い目に遭った世界の子供たちのために
少しでも手を差し伸べられないかと考え、立ち上げた団体なのです。
ネパールは放射能とは関係ありませんが、
世界でも貧しい国の一つに入るので子供たちの生活もさぞかし大変だろうという思いから、
CheFuKoの支援活動を行なっています〈以下、次号に続く〉。