天国と地獄
 

2017年8月25日更新

第31回 ラキ火山の迫力

 
動画ですので、プレイボタンᐅをクリックすると動く映像が見られます。

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今回の旅でヨーロッパを37日間回ってきたのですが、
最後はなんと北極圏の「アイスランド」まで行ってきました。

中には「アイルランド」と間違う人もいるかもしれないのですが、
アイルランドはイギリスのすぐ横にある国です。
アイスランドはイギリスのずっと北西にあって、
グリーンランドがすぐ目の前にあります。
北極圏になりますが、日本に近い所で北極圏といえば、
カムチャッカ半島の上の方になり、とても寒い所です。
しかし不思議なことに、アイスランドは冬でもそんなに寒くないのです。
せいぜい-5℃程度の気温です。
なぜかというと、「メキシコ湾流」という暖流がカリブ海から流れ込んでいて、
その暖流が暖かさを運んでくるのです。
しかし、暖かいといっても夏にしては寒いですよ。
今回は真夏の7月頭に行ったのですが、
最高気温10℃、最低気温7~8℃です。
風が吹けば、体感温度は0℃です。真夏でこの気温です。

 
 

ラキ火山の噴火口。

延々と約30㎞続いている。


 

アイスランドに到着した日は快晴でした。
不思議な国で、飛行機から降りて車で走ってみたら、
地球とは思えない光景が広がっていました。
火星か、はたまた月かと思うほど、あたりは溶岩が固まった跡だらけで、
他には何にもありません。
本当にレイキャビクまで何もないのです。
50分くらい車で走ったのですが、
途中でこのまま行って街に着けるのかと心配になるほどでした。

アイスランドの大きさは、約103,000㎢。
ちなみに北海道は約83,000㎢です。
人口は約33万人ということですから、
日本でいえば高知市や群馬県の前橋市くらいです。
レイキャビクに20万人住んでいますから、
それ以外の地域には10万人しかいないことになります。
同じ島国のニュージーランドは人口459万人ですから、
どれだけアイスランドの人口が少ないかがわかります。
アイスランドを上空から見ようと、ヘリコプターで6時間半飛行してみました。
ニュージーランドには羊がたくさんいますが、
ここでは羊さえ見渡す限り3頭しか確認できませんでした。
アイスランドとは、そんな島なのです。

先程、火星か月かと言いましたけれども、
月面に地形が一番似ているということで、
アメリカのNASAがアポロ計画の際、
月面着陸の前に飛行士をここアイスランドに連れてきて宇宙服を着せ、
溶岩の上で訓練をしたのです。

アイスランドは本当に不思議な島で、プレートが湧いてくるところがあるのです。
皆さん、プレートってご存知ですよね?
東日本大震災も太平洋プレートがユーラシアプレートに潜り込み、
それが跳ね返って大地震になったのですが、
逆にアイスランドではプレートが湧いてきて、それが両側に分かれています。
地球のプレートはほとんど海底にあるのですが、
唯一地上に出ているのがアイスランドです。
世界でここだけなのですが、割れ目が見えていて年間2cmずつくらいずれています。
地球の割れ目なので、火山も多いのです。

 
 

デティフォスの滝。

氷河からとけ出た水が
大量にこぼれおちている。
映画の撮影現場にもなった。

(アイスランドにて)

 

今回、どうしても私がアイスランドを訪れたかった理由を話しましょう。
拙著「世界沈没」の中でも述べているのですが、
ルイ16世夫人のマリーアントワネットがギロチンにかけられた理由、
つまり「フランス大革命」が起きた理由というのは、
長年悪政のせいだと言われてきました。
しかし実際はそうではなくて、
アイスランドの「ラキ火山」がその数年前に噴火したことが原因なのです。
ラキ火山が噴火すると、ヨーロッパ中が真っ暗になって、
火山灰がヨーロッパ中を覆って気温がどんどん下がりました。
そのため、大飢饉になって食料危機に見舞われたフランス人は暴動を起こすことになり、
そこからフランス大革命になったのです。
日本もその年に浅間山が噴火し、
空が火山灰に覆われて天明の大飢饉になりました。
それが原因で幕藩体制がぼろぼろになり、幕末へとなだれ込んで行ったのです。

つまり、日本も世界も、ラキ火山の噴火によって運命が変わってしまったのです。
そのラキ火山をどうしても見たくて、今回はるばるやって来たのです。
想像以上の凄まじさで、長さ約30㎞に亘って噴火口が延々と続いており、圧倒されます。
先程書いたように、ヘリコプターを6時間半チャーターして噴火口の上空を飛びました。
天候が悪く、霧と雨で無理かなと思っていましたが、
パイロットが「何とか行ってみよう」とトライしてくれました。
すると、ラキ火山の近くに入った瞬間に晴れたのです。
ヘリコプターのガラスに雨滴がついていましたが、何とか映像が撮れました。
その貴重な映像がありますので、動画でトップページに載せておきます。
皆様にぜひ見て頂きたいと思います。

というわけで、東日本大震災も大変な災害でしたけれども、
火山噴火はもっとひどいということがお分かり頂ける
拙著「世界沈没」を、ぜひ読んで頂きたいと思います。

浅井隆