天国と地獄
 

2017年8月4日更新

第29回 列車でクラクフへ

 

今回でポーランドからのレポートも3回目になります。
今、ワルシャワから特急列車に乗っています。
写真にも写っていると思いますがイタリア製の素晴らしい列車で、
新幹線と同じように鼻が長くて美しい車体で車内も綺麗です。
スピードは新幹線より遅く、時速150~160㎞くらいと思われます。
ヨーロッパの鉄道にしてはめずらしく、定刻通りに出発しました。

皆さんご存知の通り、日本の新幹線は座席の向きを全て進行方向に変えられます。
不思議なのですが、ヨーロッパの列車は座席の向きは変えられないのです。
進行方向に対して前向きと後ろ向きがあって、
ちょうど私は後ろ向きの座席に座ったので後ろに向かって走っています。
その点、日本の新幹線は良くできているなと思います。
でも、最新式の電車でしたので電源も付いています。
ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、私は温熱器で体を暖める施術を毎日しています。
この旅行にも温熱器を持参していたのですが、
車内で電源を使って「温熱」ができたのでとても快適でした。
一等車は女性のパーサーが付いて、軽食と飲み物を無料でサービスしてくれます。
快適な時間を過ごしながら、列車は定刻通りに到着しました。

 
列車  

日本の新幹線にも
似たような車体がある、
ポーランドの特急列車。


 

2時間半の列車の旅で「クラクフ」に到着しました。
ワルシャワが第二次世界大戦でドイツ軍にすべて破壊されたのに対して、
クラクフは当時の街並みがほとんどそのまま残っています。
そして、ここがかつてのポーランド王国の首都だったのです。
その後、首都は数百年前にワルシャワに移りました。
日本でいえばクラクフは、ちょうど京都にあたる街です。

駅から車で15分くらいで街の中心部に出られるのですが、
その日は連休で混んでいたため、タクシーもなかなか来なくて、
駅の駐車場を出るだけで大騒ぎでした。
街をタクシーで走っていると、ワルシャワと違って古色蒼然としており、
最初は「廃墟かな?」と思うくらい古い街だと感じました。
しかし、実際にホテルに着いてホテルの中や周辺を歩いてみると、
ホテルは古いけど、とても素敵なホテルであること、
街の中は様々なお店や建物があって、多様性に富んでいること、
人々はとても優しく、フレンドリーであることがわかり、
とても過ごしやすい街であると感じました。

 
 

クラクフの中央広場にある
「織物会館」中には
今ではお土産屋さんが
所狭しと並んでいる。

 

その後、歩いて「中央広場」まで行きました。
よく写真に出ている有名な広場です。
「織物会館」という昔の商業地の跡が中央に並び、
その横に「聖マリア教会」と「旧市庁舎の塔」があります。
この広場はヨーロッパで一番広い広場で、
こんなに広い広場を持っているということは、
それだけ大勢の人が集まるということで、そのことからも、
かつていかにポーランドがヨーロッパで重要で力を持った存在であったかわかります。
ドイツ、ロシアに並ぶ位の、一時はそれらを超えるほど強大な力を誇っていたのです。

特に「聖マリア教会」の中にある祭壇は写真にあるように大きく、
美しい開閉式の祭壇で、ポーランドの国宝になっています。
世界中を回っている私でも、なかなかこれだけの祭壇を見たことがありません。
1つ比べられる祭壇としては、スペインの「セビリアの大聖堂」があります。
世界一の大きさを誇る祭壇で、主に南米から略奪した金でできていますが、
「聖マリア教会」の祭壇もそれに匹敵する美しさで、
とても見応えのあるものでした。
そして、ポーランドがいかに歴史と文化のある国であるかということが、
ここでもよくわかりました。

 
 

「聖マリア教会」の祭壇。

その美しさは世界有数。
自由時間に再び訪れ、
厳かな気持ちに
しばし浸りました。

(ポーランド・クラクフにて)

 

ただ、ポーランドに滞在していた間は気温が高く、
連日30℃くらいありました。
石畳の上で計ったら40℃くらいあるのではないかと思う程の暑さでした。
直射日光も強くて、普段は冷たい物は口にせず、
ましてやアイスクリームなど決して食べない私が、アイスクリームばかり食べてすごしました。

浅井隆