ポーランドは、地図を見てわかる通り他国と陸続きで、
いつでも騎馬軍団、あるいは近代でいうと戦車が入って来ることができるので、
あっという間に敵に侵攻されてしまいます。
距離を測ってみたのですが、ベルリンまで大体400㎞、
日本でいえば東京から名古屋を過ぎて滋賀県くらいまでの距離です。
戦闘機だったら一瞬で到達できる距離に、他の国の首都があるわけです。
ですから、そういう環境に居住している国民というのは、私達とは全く違います。
まず、多くの人が3ヵ国語くらい話すことができます。
食糧危機をはじめ何か大きな天変地異などで民族大移動が起こったり、
侵略目的で他の民族が侵入してくるという経験を歴史的に何度も経ていますので、
自国以外の言葉に対応していくことは大切なことなのです。
ポーランドは実際、地図上から国自体が消えてしまう状況に何回か陥っています。
最近の例では第二次世界大戦の時です。
あの時は、ドイツと当時のソ連(現ロシア)に挟まれて両国から侵攻されました。
ヒトラーが負ける寸前の、まだワルシャワにドイツ軍がたくさん残っていた時、
ソ連軍が東から攻めて来てとんでもないトリックをポーランドに仕掛けました。
ソ連のスターリンが占領後の支配を容易なものとするために、
ニセの情報を流したのです。
当時、ワルシャワにはドイツ軍を追い出したいという
ポーランドの「レジスタンス」(抵抗勢力)がいたのですが、
彼らに向かって「ソ連軍が助けるから、ドイツ軍に向けて武装蜂起しろ」と言ったのです。
それを信じたワルシャワ市民は武装蜂起し、ドイツ軍と戦いました。
ところがその後、郊外まで来ていたソ連軍は約束を守らず、
ポーランド人を助けに来なかったのです。
その間にドイツ軍は、武装蜂起した20万人のポーランド人を
ほぼ皆殺しにしたと言われています。
しかもその後、ワルシャワを徹底的に破壊しました。
そして、ポーランドの抵抗勢力がほぼ全滅した後、
ソ連軍が入って来て元気な者がいないワルシャワを陥落させ支配してしまいました。
そういう恐ろしい歴史を経ています。
その時ソ連は東欧をほぼ全て支配し、西側のNATO(北大西洋条約機構)軍に対して
東のワルシャワ条約機構軍を作りました。
そして、東西ドイツの国境を挟んで鉄のカーテンを引き、
米ソ冷戦時代が始まったのです。
その当時のワルシャワは、ソ連側に支援された東ヨーロッパ軍事同盟の拠点となったのです。 |