コラム天国と地獄
 
2016年9月26日更新

第2回 フランスにて

 

前回はイギリスよりお伝えしました。今日は、これからスイスとフランスへ行こうとしています。
今回はスイスとフランスよりはるか東、ヨーロッパの文明の起源、ギリシャのお話をしたいと思っております。

 
  モンブランの近くの
標高3800メートルの天望台より
(2016年9月)
 
 

フランス・シャモニーから
ロープウェイで登頂できる
モンブラン近くの
エギーユ・ドゥ・ミディ
(2016年9月)

 

前回はイギリスよりお伝えしました。
今日は、これからスイスとフランスへ行こうとしています。
今回はスイスとフランスよりはるか東、
ヨーロッパの文明の起源、ギリシャのお話をしたいと思っております。

ギリシャは現在、国が破産状態で、ユーロのお荷物といわれています。
しかし、今から2000年以上前のローマ帝国以前のギリシャという国は、
まさにヨーロッパの文明の起源、そして民主主義の起源、
オリンピックの起源を作った国として現在のヨーロッパの全ての起源と言われている位、
素晴らしい文明を誇っていました。
ところが、そのギリシャに都市国家があって、アリストテレスやソクラテスがいた時代、
民主主義は最高の政治形態ではなかったんですね。
これには皆さん、びっくりするかもしれませんが、
本当は彼らが理想としていたもっと上の政治形態をしたかったのです。
しかし、それがなかなかできなかったので、
しょうがなく次に優れているといわれていた民主主義を取り入れたようです。

それでは、ギリシャ人が本当にしたかった政治形態とは何か。

それこそ、哲人政治です。
哲人政治とは何かといいますと、驚くべきことに独裁政治なのです。
ただし、それはヒトラーやプーチン、習近平のようなものではなく、
本当に理想の徳をもって万人の事を思い、正しい決断をいつでもできる、
そういう100点満点の人間(哲人)が一人の独裁的な力で最高の政治を行うのです。
というのも、彼らは民主主義の最大の欠点というか、欠陥に気づいていたからです。
つまり、民主主義は、往々にして衆愚政治に陥るのです。
といいますのも、愚かな大衆は愚かな政治家を選び、バラマキを求めるのです。
そして、国のいろいろな規律が緩み、最後は財政破綻して滅んでいくというのを、
実はギリシャ人は知っていたのです。
そう言ったことから、ギリシャ人にとって最高の政治形態は哲人政治であり、
民主主義ではなかったのです。
そう考えた時、今の日本はどうかといいますと、私は似たようなもの、
あるいはそれ以上のバラマキを行なっているのではないかと思っています。
その究極の姿こそ、アベノミクスではないかと・・・。
「アベノミクスの三本の矢」の最後の矢は構造改革だったのですが、
それには手を付けずにバラマキと日銀による国債の買い取りに終始した、というわけです。
以前から日本では無駄な公共事業が多く、
例えば群馬の八ッ場ダムがあと数年で完成されますが、
付帯工事を含めて一兆円近くお金がかかっています。
ニュージーランドのように税金を無駄使いしない国からみたら、
想像を絶することでしょう。

最近では、『選択』が記事で取り上げています。

二兆円が泡と消える「無能国営ファンド」
「血税の焼却炉『産業革新機構』」
経済産業省が生み出した官製ファンド「産業革新機構(INCJ)」が
日本の企業再編を歪めている。
国の信用をバックに約二兆円の投資枠を持つINCJは、
再生の見込みが薄い半導体や液晶パネル産業の再生に
三千億円を超える血税を投じたが、回収どころか
投資した企業の存続すら危ぶまれている。
(月刊『選択』2016年9月号 記事より抜粋)

というわけで、こういう無駄なバラマキが日本中を覆っています。
農業も補助金漬けで、競争心もありません。
本来はダメな組織、企業を早く潰して、新しい次の日本を背負って行けるような産業、
あるいはやり方を作っていくのが構造改革です。
しかし、その構造改革が出来ていないうちにバラマキをやっている。
その最たる部分が社会保障です。日本は、老人が中心の選挙です。
老人の言う事を聞かざるを得ません。
そして、社会保障を削れないままここまできてしまい、これからも増えて行きます。
そうすると、日本の借金はもっと膨らみ将来の若い人たちには借金しか残りません。
あるいは破産した国家のみが残るという、悲惨な結末にならざるを得ません。
いよいよ、大改革を断行しないといけない時期に差し掛かってきました。

それを、次回にお話したいと思います。

浅井 隆