天国と地獄
 

2020年6月25日更新

第133回 「新世界」がはじまった

 

ドヴォルザークが作曲した「新世界より」という作品がありますが、
今回のコロナ騒動により世界はまさに「新世界」へと変わりつつあります。
「緊急事態宣言」により外出自粛が求められたことで、多くの会社で急遽、
在宅勤務に切り替えられ、子供たちはパソコンを使った遠隔授業を受けるなど、
社会の在り方がガラリと変わりました。

この動きは、今後ますます加速するでしょう。
在宅勤務の人が増える結果、オフィス需要は確実に減ります。
少子高齢化で人口が減っているにもかかわらず、
日本ではオフィスや住宅がどんどん建てられました。
この過剰供給に需要の減少が加わり、不動産市況は今後、悪化する可能性が非常に高いと見ています。

景気の悪化も深刻になります。
低金利もあり、これまでは借金をして資金効率を高め収益を上げ、
事業規模を拡大する「攻めの経営」が良しとされる風潮がありましたが、
コロナ・ショックを機に多くの企業は手元現金を厚めにして損失を抑える
「守りの経営」への転換を迫られています。
特に、売上げがほとんどなくなった業界や企業は厳しい困難に直面しています。

航空業界もその一つで、ANAホールディングスなどは飛行機を飛ばさなくでも
毎月1000億円もの費用がかかるといいます。
しかし、手元資金は3ヵ月分程度しかなく、
政府の支援がなければ資金繰りのめどがまったく立たない状態です。

第二海援隊グループは小さな会社ですが、十分な資本がありますから、
今のところ経営は安定しています。
また、危機への対策をコンサルするビジネスの性質上、
危機の際には会員数が増える面もあり、大きな打撃は免れています。
とにかく、デフレの時代は現金(あるいは換金性の高い資産)が求められるわけで、
それは個人も企業も同じです。

政治家や経営者の多くは、経済の規模や会社を大きくすることばかり考えがちです。
しかし、私は自分の経営する会社はこれ以上、絶対に大きくしないと決めています。
社員全員の状況、会社の状況が一目で見渡せる範囲内で経営しているのです。
私がめざしているのは、現在のような危機的状況が起こった時に
絶対に潰れない会社にすることです。世の中というのは良い時ばかりではありません。
このような酷い時にこそ真価が問われます。

世界中で多くの個人や企業が困窮する中、各国政府は巨額の財政支援を迫られています。
世界最悪の財政状態にある日本も100兆円レベルの対策を打ち出しました。
この状況で財政支出を増やさないわけにはいかず、近い将来の国家破産は確定でしょう。
2025年以降、いつ国家破産してもおかしくありません。
その時の混乱は現在のコロナ騒動どころではありません。
物価が急上昇し、円の価値は大幅に下がります。最悪の場合は紙切れ同然になります。
そうなると、預金も年金もほぼ無価値になり、国民生活は破壊されます。

国家として日本が存続できるかどうかも心配です。
特に、中国の存在は脅威です。
今回のコロナ騒動でも自国からウイルスが発生したのにも関わらず、
アメリカ軍がまき散らしたなどと言い、一方で「マスク外交」によりさまざまな国の歓心を買い、
中国側に引き込もうとしています。そのような国がすぐ隣にいるのです。
今後、日本はますます中国に翻弄されることになるでしょう。
30年後に日本は本当に存在できるのかと心配になります。
中国の一省になるのか、それとも中国と戦争することになるのか?
このようなことを考えさせられます。

また、危機の時代には「安全」や「健康」の重要性も高まります。
私は常日頃から異常なほど健康に気を使っています。
毎日2時間、温熱療法を受け、良質のサプリを飲み、
水もニュージーランド産の天然ケイ素入りのものしか飲まないようにしています。
その甲斐あって、いつどんな検査をしてもほとんど悪い結果が出ません。
免疫力も高いので、コロナに感染したとしても、発症しないか、
発症してもひどい状態にはならないのではないかという自信があります。

私の場合、若い時に父方の叔父がガンで亡くなり、
母方の叔父がクモ膜下出血で倒れて1週間で亡くなるなど、
病気の怖さを間近で見てきました。
新聞記者時代には多くの災害事故現場を取材したことからも、
「人間は健康を失ったらおしまいだ」ということを強く実感していました。
物事には必ず原因があって結果があります。
もともと体質的に弱い人もいますが、病気にも必ず原因があり、
その結果として症状が現れるわけです。
皆さんもこれを機に健康にはもっと気を遣うようにしていただきいと心から思います。

毒性もさほど強くないコロナウイルスひとつで世界中がひっくり返るくらいの
大騒ぎになっているのですから、人類の文明なんて意外と脆いものです。
どんなに医学が進もうが、新型のウイルスは簡単には退治できません。
結局、最後は自分の免疫力をいかに高め、安全性をどう確保するかにかかってくるのです。

人類の歴史というのは病気との闘いです。
今からちょうど100年前、第一次大戦時にはスペイン風邪が流行りました。
人口20億のうち、5000万人が亡くなったと言われています。
戦争による人との接触が感染を世界に拡大させました。
実は第一次大戦を終わらせたのはスペイン風邪だとも言われています。
兵士が次々にスペイン風邪に感染し、ついには戦争どころではなくなってしまったのです。
スペイン風邪の100年前にはコレラ、その100年前にはペストが流行しており、
世界は概ね100年ごとに極めて深刻な感染症に襲われています。
これからも私たち人類は感染症と戦い続けなければならないのです。

特に気がかりなのは、地球温暖化によりシベリアの氷が融け始めていることです。
その結果、何千、何万、何億年というはるか昔に生きていたウイルスが復活する可能性が
あるといいます。いずれにしても、今後もパンデミックはくり返し起こります。
現在のコロナウイルスと違い、強毒性で致死率の高い新型ウイルスが発生すれば、
世界で10億人、20億人が死亡する事態になるかもしれません。

今回、私が何よりも皆さんにお伝えしたいのは「歴史にもう一度学べ」ということです。
実は、これまで全ての文明は滅んでいます。
そんなことは普段考えもしないと思いますが、現在の私たちの文明もいつか必ず滅ぶのです。
あるいは人類が滅んでしまうかもしれません。
これ以上人口が増えたらどうなるのでしょうか?
世界の人口は80億を超えましたが、もしも今後、100億、200億とどんどん増えていったら、
他の生物をすべて食べ尽くしてしまうことでしょう。
人類は今、危機的な状況にきていると私は思います。

人類は、今後そう長くは生存できないのではないか、
100年あるいは200年以内に滅ぶのではないかと言う科学者もいます。
人間の生命力自体が弱っているからです。実際、すでに男性の精子はどんどん減っています。

いずれにしても、今回のコロナ・ショックは世の中のさまざまなものを変える
大きなきっかけになることはほぼ間違いありません。
国家はもちろん、企業や個人にとっても最終的には大きな戦略が重要です。
生きるための指針になるものを自分で作って行くしかありません。
皆さんもぜひ本を読むなどして歴史に学び、自らの戦略を練り直し、
自分の家族、自分の会社をどう守るかを考えてみて下さい。

すでにあたらしい世の中が始まっている。
新型コロナウイルスによって、明治維新と同じ「瓦解」が起こり始めているともいえる。
健康な身体と歴史に学ぶ知恵を持って、変化の時代を生き抜いていただきたい。
(2020年6月 東京・早朝のスターバックスにて)