天国と地獄
 

2018年4月25日更新

第55回 いよいよ時代の転換期が始まる

 

今日は3月23日です。
会社の近くに皇居がありますが、お堀の桜も美しく咲いており、
東京では今が3分咲き、4分咲きというところです。
今日は、今までに皆さんにメッセージをお送りしている中でも
“一番重要”な内容をお伝えしたいと思います。
おそらく、30年後にこのコラムを見た時、
「そうだったのか。あの時に始まったのだな!」と気が付くことでしょう。

現在、森友学園の件で財務省の文書書き換えが問題になっており、
これによって安倍政権の信用が失墜しています。
去年の秋の総選挙で自民党は大勝したのですが、
それも帳消しとなりそうな状況です。
順調に見えた「アベノミクス」も、黒田日銀総裁が行なってきた麻薬といわれる
“異次元緩和”の効力が薄れる時期であり、
しかも景気の循環から言ってもそろそろ景気後退に入る時期なので、
一時の勢いはなくなってきています。
そして、東京オリンピックに向けての需要、
特に建設需要は今年か来年には終わってしまうという中で、
いよいよ私が以前から言ってきた、
日本の財政問題を含めた国家破産に向けての大きなトレンドが動き始めています。

その1つの前兆が、このアベノミクスおよび安倍政権の失速です。
今年の2月、ちょうど私がニュージーランドへ行ってすぐに株が暴落しました。
不思議なのですが、私が海外に行くと株が暴落するのです。
これを“ジンクス”と言いますが、今回もその通りで
私が2月にニュージーランドへ行った瞬間に世界中の株が暴落し、
日本株も2万4,000円まで上がっていたのが2万1,000円まで下がりました。
しかも、今日(3月23日)も実はNYダウが700ドルくらい下げ、
その影響で日経平均も前場で700円以上下がっています。

今日の株暴落の原因は、アベノミクスの減速などではありません。
これは、世界的に大変な問題を秘めています。
その原因とは何か?
実は、トランプ大統領が中国に対して関税をかけると発表したことです。
これによって、貿易摩擦、貿易戦争が始まりそうなのです。
中国は、絶対にこのような処遇を許しませんし、対抗措置を取ると言っています。
時は折しも、習近平の一強体制となったばかりです。
今後、トランプがさらに強硬な態度を取って行くならば、
世界は自由貿易を捨ててどんどん保護貿易主義に向かい、
お互いに関税による叩き合い、潰し合いを始めることでしょう。
これは、かつて第二次世界大戦の前兆となった日米の争いと同じです。
世界がおかしくなる時は大体、お互いが保護貿易主義になり、
そして関税を掛け合うという前哨戦があるのですが、それがついに始まったというわけです。

しかも、その根底には私が前から言っている巨大な「800年周期」の流れ、
そして「覇権の移行」があります。
簡単に言いますと800年周期では今、
ヨーロッパの時代が終わってアジアの時代が始まろうとしているのです。
つまり、ヨーロッパが下降しアジアが台頭して、
それがちょうどぶつかった交差点が現在なのです。

今から800年前には逆の動きがありました。
ヨーロッパが暗黒の中世から目覚め、
ルネサンスがイタリアで起こり、
大航海時代のスペイン、そしてオランダ、イギリス、アメリカと西洋の発展が続く中、
反対にアジアの中国は「大唐帝国」という中国史上最大の帝国が「宋」となり、
モンゴルによって侵攻されて「元」となり、
政治の腐敗が激しかった「明」、
そして“眠れる獅子”と言われた「清」と続く暗黒の時代へと突入しました。

日本も平安時代のきらびやかで明るい文明期の後、
鎌倉時代に入り武士の時代になって暗い殺りくの時代になりました。
このように、アジアとヨーロッパに逆の流れが起こったのです。
ヨーロッパはこの800年間、巨大な西洋文明・科学文明を築いてきました。
そして今、まさに東西の没興が逆転しようとしているのです。
東西の没興が逆転する時は、世界的な「戦争・動乱・天災」が起こり、
“暗黒の100年間”と言われる時期を経るのですが、
今まさにその時代に入り始めたというわけです。

そして、その800年の大きな流れの中に「覇権の移行」があります。
アメリカはオバマが「世界の警察官を降りる」と宣言しましたが、トランプも同じ考えで、
すでにアメリカは「世界中、どこで戦争が起こっても何があっても俺は知らない」と言っています。
これは、アメリカが覇権大国であることを放棄した証左であり、
このことは今後の日本の防衛問題にとっても大変なインパクトを与えることでしょう。

そういう中で中国では、習近平が今までにない独裁体制をとっています。
これまでも“中国共産党”という“皇帝”がいたのですが、
習近平1人がさらに強力にすべての権限を握る体制になっています。
私たちのすぐ裏には、北朝鮮というとんでもない国があって将軍様が実権を握っていますが、
それに匹敵するくらいの強権を中国では習近平1人が持つという、
大変怖い時代になっています。
そんな中国と今まで述べた西洋文明最後の大国アメリカが、ぶつかり始めているのです。
そして世界中をよく見ると、中国は習近平の独裁下にあり、
ロシアはプーチン大統領が強大な力を握っている、
フィリピンもドゥテルテ大統領の独裁で、トルコもそうで……
世界中どの国も問題を抱え、独裁者による劇的な解決を望んでいるのかもしれません。

 

 
そのように様々な国で独裁の政治家が出てくる中で、
日本も現在のところ安倍首相一強という状況です。
上に述べたような独裁者に比べればかわいいものですが、
それもいよいよ森友問題で崩れ始めてきました。
アベノミクスというのは、前から言っている通り
日銀に日本国債も株も不動産も買わせるという手法、
つまり麻薬漬けにしてその間に税収を上げて行くという手法でした。
上手いこと税収が上がったので、国の借金の増加率も多少減りました。
そういう中で、なんとか上手く出口戦略を見つけようと努力してきましたが、
規制緩和もできず次のイノベーション──AIしかり自動運転しかり――も心もとない状況です。
これからの日本は、少子高齢化の一番大変な時代を迎えるわけですが、
その中で私が前から警告している「世界恐慌」という現実が、いよいよやってきそうなのです。








 

日本人の心を高揚させる桜の花。

1年にわずか1週間の命という
はかなさゆえだろうか。
日本経済が、桜の散り際のように
最後の高揚でないことを祈りたいが……。

(東京・千代田区にて 2018年3月)